ブックデザイナー

私が好きな本に凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』がある。元々好きな作家さんではあるが、新刊として『汝、星のごとく』が本屋に並べられた時に表紙のデザインに心を奪われた。キラキラとしたブローチに、金色の箔押し文字がとても映えていてまるで宝石箱のようなデザインである。

写真に使われているのは刺繍家auroreさんのブローチ。オートクチュールの技法を用いて作品制作をしている。物語の中でも刺繍の話が出てくるため、表紙と内容がリンクしている。

そして装幀が鈴木久美さん。これまでに『52ヘルツのクジラたち』町田その子、『狩人の悪夢』有栖川有栖、『にほんの詩集 谷川俊太郎詩集』谷川俊太郎などの装幀を手がけている。

ブックデザイナーは表紙やカバーだけでなく本文の文字や使用する紙の選定など本全体のデザインをする仕事である。『汝、星のごとく』の表紙に刺繍のブローチが使われているのも、ただ「綺麗だから」「目を惹くから」ではなく、ちゃんと物語の内容とリンクしている理由付けで選ばれている。本文の文字も、物語の世界観に合うように少し小さめで繊細なフォントでデザインされている。

近年は電子書籍が普及し、街の本屋も減少している。紙と電子、どちらにも利点があるがブックデザイナーとしての仕事が光るのは紙の本だと思う。ブックデザイナーは本を手に取るきっかけを生み出す素晴らしい仕事であり、書籍を支える重要な裏方であると思う。

画像引用元:https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000366625

0コメント

  • 1000 / 1000